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 コロナウイルスに対して何が必要か、わたしの答えは二つ。対話と誠実さである。

 

 人間の体の仕組みひとつをとっても、まるで人の体がウイルスの発着を予め準備しているとさえ思われる巧妙さだ。そう、我々は彼らとともに常に共存し、共に変容を遂げてきたのだ。

今回のウイルスは奇跡に近いスピードと確率で、様々な機能を獲得したウイルスではあるが、それが自然発生したものであれ、悪意を土台にした人為のものであれ、新しい形の共進化の場とも言えよう。つまり私たち自身も、私たちの考えも、私たちの知恵も、私たちの社会も進化せねばならない。

 

 それに必要なものはウイルスとの対話である。存在する物はすべてメッセージを持っている。では、その声をどうやって聞くのか、それはウイルスを知ること、学ぶこと、考えること、そしてそれに対処し行動することによって得られていくのである。そして、それは人間とは何かという問いにつながってゆくだろう。生死の境や苦境の只中にいる人々も多くいよう。しかし、過酷な現実の中でもその問いや答えを、私たちはくたばるその時まで、探し続けねばならない。

​ 世界においても、盲人が盲人を支配するようなこの日本においては特に、より必要なものは誠実さということである。コロナ風邪の重篤化の影に、一部薬害が潜んでいることはすでに囁かれ始めたが、根本を辿れば要素還元主義による医療の蔓延、極端に商業化された薬剤資本の暴走などがあげられよう。医者は臓器を治すものではなく、人間を治すものであるし、薬は売るものではなく、人間を治すためにあるのだ。医療もその原初に立ち返れば、他者への慈しみという誠実さに他ならないはずである。

 政治においても他者の意見を圧殺し支配することが政治ではなく、民を治めることこそが政治である。治めるとはできるだけ過不足をなくするということである。それは他者の立場や生活を知らなければ語れないものであり、決して今の日本政治のように国民に目潰しをして、現実が見えないようにすることではない。

 自分の行動ひとつが、他者の命を奪いかねないという、現在のこの状況において、他者を思いやるということは他者への誠実さである。身近な人間や家族に対する誠実さを仁という。地縁血縁を越え、より大きな社会集団で影響を及ぼす誠実さを義という。しかし、植民地主義から続くグローバリゼーションの波の中で、私たちはそれに見合う地球規模の誠実さの形態をまだ獲得してはいない。逆に言えば、誠実さの欠如が現在のグローバリズムの本質であるといってもよい。そして更に、その誠実さの欠如こそがコロナウイルスの災禍を招いている人間社会の最大の原因なのだ。

 今後数年続くであろう地球規模の混乱の中で、新しく、力強く、そして素晴らしいものを共に生み出していく人々に幸いのあらんことを願う!

 

                                    2020/3/19

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